HR PLUS合同会社の杉内です。弊社では採用支援サービスを提供しています。
この記事では、求人の応募者数を増やす継続的な改善方法についてまとめています。
弊社独自の採用ロジックですので、ネタバレになってしまうのではないかと躊躇しましたが、少しでも採用の手助けができればと思い公開に踏み切りました。
このロジックを知っておくと、下記の3つが分かるようになります。
- 応募数が増える仕組み
- 具体的な調査方法
- 具体的な改善手法
弊社ではこの独自の採用ロジックを「Job Market Fit 理論」と呼んでいます。
基本的にどんな業種・職種でも応用できる本質的なノウハウですが、一つだけ注意点があります。
今回お伝えする内容をすべて自社だけで実行するのは、少しハードルが高いです。
中には簡単に実行できるものもありますが、普段の業務と同時並行で進めるとなると、手が回らなくなる可能性があります。
もし自社だけでは難しそうだと判断した場合は、お気軽に弊社へご相談ください。経験豊富なコンサルタントが御社の採用を継続的に改善していきます。
独自の採用ロジック「Job Market Fit 理論」とは
Job Market Fit とは、求人(Job)が転職マーケット(Market)にフィットしている状態を指す言葉です。
この状態を作り出すことで、自然と応募数は増えていきます。
- Job = 求人(事業内容、仕事内容、条件、アピールポイントなどすべてを含む)
- Market = 転職マーケット(採用ターゲットのニーズ)
一方で求人が転職マーケットにフィットしていないと、応募が来なかったり、応募が少なかったりします。
それでは、この「Job Market Fit」の状態を作り出すためにどんな手順で改善していくのかを解説します。
具体的な改善のステップ
求職者の行動や思考性を理解するため、9つの調査方法をご紹介します。
調査から得られた情報をもとに「何をどう改善するか」「どんな仮説が考えられるか」を決めます。
改善の軸が決まったら、10パターンのアプローチで改善を実施します。
求職者理解とは
Job Market Fit の状態を目指すためにまずやるべきことは、自社の採用ターゲットを理解することです。これを「求職者理解」とも呼びます。
求職者理解をさらに2つに分けると「行動理解」と「思考性理解」です。
行動を理解することで求職者に求人を発見してもらい、思考性を理解することで求職者の応募を促進できるようになります。
- 行動理解
- 求職者が仕事を探すときにどんな行動を取るのか
- どんなキーワードで検索するのか
- 思考性理解
- 求職者がどんな基準で会社を選んでいるのか
- どんな不安を抱えているのか
- 何を求めているのか
行動理解
行動理解とは、求職者(採用ターゲット)が仕事を探すときにどんな行動を取るのかを理解することです。
職種やタイプによって行動パターンは異なりますが、大抵の場合は下記のいずれかに該当します。
- ネットで特定のキーワードを入力し検索する
- 特定の求人サイトで条件やキーワードを入力し検索する
- ハローワークに行く
- 人材紹介会社や派遣会社に相談し登録する
- スーパーやコンビニで求人誌を取る
- 知り合いに聞く
- 企業の採用ページなどを閲覧する
求職者の行動を理解していないと、求人を発見してもらうことが難しくなります。
「応募が来ない」と悩む企業様は多いですが、そもそも求人が閲覧されていないパターンもよくあるんです。
また、どんなキーワードで検索しているのかを調査することで、採用ターゲットのニーズを把握できるメリットもあります。
詳しい調査方法は、「求職者理解のための具体的な調査方法」にて解説いたします。
思考性理解
思考性理解とは、求職者(採用ターゲット)がどのような基準で会社を選び、どんな不安や疑問を持っているのかを理解することです。
以下は思考性理解において重要なポイントです。
- 会社選びの基準
- 給与や福利厚生
- 勤務地
- 働き方
- 企業のビジョンや理念、社会的評価
- 事業内容、社会貢献性、事業成長性
- 仕事の内容やキャリアパスの可能性
- 抱えている不安
- 仕事内容や職場の雰囲気が自分に合うかどうか
- 長期的な安定性や成長性に対する懸念
- 新しい環境に対する不安
もし求人を発見してもらえたとしても、内容に納得し、興味を持ってもらえなければ応募につながりません。
私たちが普段インターネットでモノを買うときと同じで、事前に知っておきたいことや自分がほしいと思うポイントがないと購入には至りません。
求人でも同じような現象が起きるため、求職者の不安や疑問点を先回りして解消し、求職者に刺さるアピールポイントを記載することが応募促進につながるのです。
【実践ワークショップ】自分自身に置き換えて求職者の気持ちを考える
それでは、ここで一つ実践形式のトレーニングをやってみましょう。
企業の中で働いていると「企業目線」に偏ってしまいがちで、もともと持っていた「求職者目線」を忘れてしまうことがあります。
マーケティングを理解する上で、自分自身の行動を振り返りながら求職者の気持ちを考えることは非常に重要です。
もし今あなたが転職するとしたら、具体的にどんなことから始めますか?
下記の質問を自分自身に投げかけ、書き出してみましょう。
- 転職するときにまず何からはじめますか?
- ネットで探す場合にどんなキーワードで検索しますか?
- どんな転職サービスを利用しますか?
- たくさん求人がある中でなぜその求人をクリックしましたか?
- なぜその求人に応募したいと思いましたか?
- 求人を見て、分かりづらいところはなかったですか?
- いきなり応募しますか?それともお気に入り登録しますか?
- 求人を比較検討するためにどれくらいの数を確認しますか?
- 応募方法は気になりますか?履歴書の準備は面倒だと感じますか?
- 応募した後はどんな気持ちで待っていますか?
こちらのワークショップは、社員研修として実践してみるのも良いと思います。
みなさんでホワイトボードに書きながら、求職者目線を取り戻しましょう。
求職者理解のために行う9つの調査方法
調査方法は、大きく分けると「定量調査」と「定性調査」の2つがあります。
定量調査では、数値データを収集して傾向やパターンを把握し、求職者の行動や考え方における全体像を捉えます。
定性調査では、深掘りしたインタビューやフィードバックを通じて、求職者の具体的な経験や感情を理解します。
具体的な方法は、下記のリストをご覧ください。
- 定量調査
- 社内アンケートでデータを取る
- 求人サイトや人材紹介の担当者からデータをもらう
- Web上にあるアンケート調査結果を見る
- 求職者から人気がある求人の調査
- キーワード調査
- 求職者データベースを見る
- 定性調査
- 社内で個別ヒアリング
- 面談または面接でのヒアリング
- 企業口コミサイト、SNS、ヤフー知恵袋など
比較的カンタンに実行できるものは、オレンジ色のアンダーラインを引いています。
それでは一つずつ解説していきます。
・社内アンケートでデータを取る
社内アンケートは、とても簡単で実施しやすいオススメの手法です。
理由は「現職の従業員=採用ターゲットに近い人物」だからです。
その従業員に対して、転職活動の方法や求人サイトの利用経験、職場選びの基準などを質問することで、求職者の理解が深まります。
逆に初めて募集する職種の場合は、社内アンケートが効果的ではないこともあります。
社内アンケートを実施するメリットは、ほかにもこんなものがあります。
- どういう経路で応募したのかデータを取れる
- なぜ応募したのか、なぜ入社を決めたのかデータを取れる
- 普段どんな求人サイトを見ているのかデータを取れる
- 従業員の満足度などを数値化し、求人に情報を載せられる
- 従業員からの具体的な意見やフィードバックを収集できる
- 従業員の意見を回収することでエンゲージメント(帰属意識)向上につながる
定期的なアンケートの実施は、採用活動のヒントを得られるだけでなく、従業員のエンゲージメント向上にもつながつながるため非常に有効的です。
実施する頻度は、目的に応じて異なります。採用活動のヒントを得るためだけの調査であれば単発で実施すれば良いですし、従業員満足度の向上を目的に定期的な数値測定が必要であれば四半期ごとに実施するのも良いです。
アンケートの作成には、無料ツール『Googleフォーム』を利用するのが一般的です。
・求人サイトや人材紹介の担当者からデータをもらう
求人サイトや人材紹介の会社は、非常に多くのデータを保有しています。
中には外部に公開できないデータもありますが、公開可能なものも意外と多いです。大体下記の3パターンに分かれます。
- オンラインでの打ち合わせ中に見せてくれた資料をメールでも共有してくれるパターン
- 資料の共有はできないが、オンラインで画面に映すだけならOKのパターン
- 社外秘で共有NGのパターン
これらのデータは、ただ待っていてもらえません。
まずは自社で利用している求人サイトや人材紹介サービスの担当者に連絡を取り、打ち合わせを実施できないか依頼してみてください。※打ち合わせを断られることは基本的にありません。
担当者から了承が得られたあと、具体的な質問内容をメールで送っておくと当日の時間が有意義になります。
・Web上にあるアンケート調査結果を見る
・求職者から人気がある求人の調査
・キーワード調査
・求職者データベースを見る
・社内で個別ヒアリング
・面談または面接でのヒアリング
・企業口コミサイト、SNS、ヤフー知恵袋など
調査結果をもとに改善案を考える
改善を実施するための10パターンのアプローチ方法
先ほど考えた改善案をどのような観点で実施していくのか、そのアプローチ方法をお伝えします。
- 不安払拭:求職者の懸念点や不安を解消するための情報が含まれているか
- 魅力づけ:自社の良さをアピールできているのか
- POD(Point of Difference):自社が選ばれる理由は何か
- POP(Point of Parity):自社が選ばれにくい理由は何か
- キーワード対策:求職者が検索しているキーワードを自然に盛り込めているか
- 社内体制の検討:求職者ニーズを満たすために社内で取り組めることや提案できることはないか
- 選考プロセスの最適化:応募から採用までスムーズで分かりやすいのか
- カテゴリー調整(ズラす):掲載カテゴリー(職種や雇用形態、掲載エリアなど)をズラすことはできないか
- 細分化(分ける):業務内容や応募要件、給与レンジを分割できないか
- 媒体検討:そもそも今掲載している求人媒体は適切なのか